『続・7年目の本気~岐路』
1度決心したら女の行動は早い。
そのまま木村の手を引き ~
目に止まったラブホの玄関に躊躇する事なく入って、
お客のニーズに合わせた客室のチョイスボードがある
所でもさっさと部屋を選び ~ 受付・支払いを
済ませ、いよいよ客室へ ――
「わぁぁ……最近のラブホってこうゆう風になってる
んだ……」
青と白の壁紙に、『青』を連想させる地球や海。
天井には青空と夜空が描いてある。
インテリアはまるで王侯貴族の宮殿のようだ。
和巴は嬉しそうに部屋の中を探検している。
「ねぇ、来て! 智之さん」
ついさっきまで恥ずかしそうに”木村さん”って
呼んでいたのに、いつの間にやら名前呼びだ、と
内心苦笑い。
「はいはい」
バスルームに向かうと、
「大きなお風呂! 2人で浸かったらさぞや気持ち
いいでしょうねぇ。一緒に入って確認してみる?」
和巴が喜々として木村を見る。
「お、お前 ―― それ意識して言った?」
「??……」
(う”ぅ ―― 俺のキュウリがズッキーニに……)
和巴楽しそうに微笑みながら、
バスタブの中に湯を入れ始めた。
(頑張れ、智之。あともう少しの辛抱だ)
「背中、流してあげるね」
うはっ、堪らん……鼻血噴きそ……。
なんか、もう、強引に耐久マラソンやらされて・
そのすぐ後に物凄く世話の焼ける子供のお守り
やらされてる気分だよ……。
次に和巴は、一旦脱衣所へ戻って。
恥じらいつつもこちらへ背を向け大胆に
パッパと着ている洋服を脱いでしまい、
たっぷり湯を張った浴槽へその身体を沈めた。
「和巴、お前……」
「も、何も聞かないで。今、決心が変わったらあなた
だって困るでしょ」
「しかし、単なる火遊びでするなら止めて貰いたい」
「私がそんな女だと思ってた? 火遊びで男と寝る
ような」
「……じゃ、ほんとにいいんだな」
「早くこっちに来てよ。私逆上せちゃう」
木村も余計な勘ぐりは止めにした。
真っ裸で浴室へ入り ――
和巴が待ち構える浴槽の中へ ――
「もう……なんでそんな隅っこにいるの?」
「あ、あぁ……何となく、緊張しちまってな」
「じゃあ、私がそっちに行っていい?」
木村が問に答えるより早く和巴は行動に出た。
そして、木村を背後から抱き込む。
「おい ―― 普通は男が ―― っっ」
和巴は木村の首筋へ強めに吸い付き
所有印を残す。
「何を ――」
「マーキング」
そう言って、首筋から逞しい二の腕の辺りへ
幾つもの口付けを落とす。
「お前だけズルい」
「ふふふ…………降参するなら許してあげる」
「誰がするか」
和巴はわざと怒ったような表情をして、
片手を木村の前に回し……