『続・7年目の本気~岐路』
新たな恋の予感
自分でも ”25才にもなって何をやってるんだ”
と、呆れるが。
”男を忘れるには新しい恋をするに限る!”って
断言する利沙に圧される形で参加した合コン。
特に興味を惹かれた男性はいなくて、
自己紹介が終わった後も1人ちびちびカクテルを
飲み続けていたら宴はやっとお開きになったらしく、
利沙が私の席までやってきた。
「和巴」
「……」
「ちょっと和巴、大丈夫ー?」
「ん~……あ、りさ……どしたの?」
利沙はため息をつく。そして、
「あんたは帰った方がよさそうね」
「もしかして二次会?」
「そ。カラオケだって」
「私はパスぅ……明日も仕事やしぃ……めぐみの事も
きになるし」
「だね。じゃあ、木村さんが送ってくれるゆうから、
甘えちゃいなさい」
「きむら、さん?」
『どーも』と、利沙の後ろから顔を覗かせた
男性はスーツより和装の方が似合いそうな
和風のハンサムさん。
「その様子じゃ俺のこと覚えてなさそうだな」
「あ……えっと……」
「じゃあ、お願いします。住所はさっき渡したメモの
通りだから」
「オッケー ―― じゃ、小鳥遊さん、
俺達も行こうか」
って、大きな手でグイっと引っ張るから
何となく今さら”結構です”なんて言えなくて。
彼に促されるままタクシーに乗り。
西浅草のマンションへ。
***** ***** *****
タクシーの中では大丈夫そうだったが、
「―― ほら、しっかりしろよ」
久しぶりに飲んだアルコールの酔いは
確実に回っていたらしく ――
「あ、あれぇ……結構足にきてますね」
支えを失えばこの場で寝込んでしまい
そうな和巴の体を支えつつ、
エレベーターから降り立つ木村 皇紀。
「酒、弱くなったのな」
「……え? 何か言いましたぁ?」
「―― いや、何でもない」
やっと、和巴の部屋の前まで着いた。
「あとは1人で大丈夫だな? 俺、帰るぞ」
でも和巴は、
部屋の鍵を取り出したはいいが、
鍵穴に差し込むのに苦慮している様子。
「……あぁ! もうっ、貸してみな」
イライラして木村は和巴の手から
鍵をぶん取って、
代わりに開けてやった。
「あー……1人暮らし?」
「ううん。甥っ子と従姉妹が一緒だけど、今夜は
2人とも部活の合宿で留守」
「そっか……」
「それがどうかした?」
「あ、いいや。何でもない ―― じゃ、お休み」
木村はエレベーターの方へ、
和巴は玄関の中へ ―― でも。
足がよろけて崩れるよう、
その場にしゃがみ込んでしまった。
慌てて戻る木村。
「あーぁ……歩けるか?」
「アハハハ……どうでしょう」
結局このまま自室まで木村に送って貰う事になる。