明日キミに聴かせたい

淡いピンク色のカーテンを閉め、散らかったぬいぐるみたちとテーブルの上に置かれたままの白い箱を横目にベッドに転がりながらイヤホンを耳にしながらスマホを手に動画アプリを開いた。

ムカムカする。
奈津が私のIDを好かれたいがために橘孝太郎なんかに売った。


お気に入り一覧から大好きな人の動画を再生しながら私はまだ奈津がしたことを許せずにいた。


~♪♪~♪~



「おやすみ…おやすみ~♪」


彼の歌声に浸りながら私は、奈津からの大量の謝罪メッセージと土下座をした犬のスタンプを見たまま返さずにいたことを思い出した。



「~♪沢山のごめんの中に~どれだけ僕を想ってくれていたのか~わからないまま僕はキミを責めたね~♪」


耳に流れ込んでくる彼の歌を口ずさみながら自分の目から涙がこぼれている事に気づき、ティッシュを数枚片手に持ったまま、奈津が大量にメッセージをくれてから一時間以上経っていたけれど、返信をしようと文字を打った。


-さっきはごめんね。


すると奈津からすぐに返事がきたことに少し驚いた。


-ううん、私こそごめん。羽流に怒られても当然なことしたって自分でも反省してる。
明日橘先輩に消去してもらうから。
本当にごめんね羽流。


あのままでいたら私は大切な奈津という存在を失ってしまっていたに違いない。

彼の歌が私を冷静にし、彼の歌が私の指を動かして奈津に返信をさせてくれた。



お気に入りのぬいぐるみにおやすみ

おやすみ

おやすみ
おやすみ


~~♪~♪♪~


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