明日キミに聴かせたい
「あーあー、ちょっとあんた髪ボサボサじゃないの。もう可愛いのに台無しねー」
椅子に座って両手を合わせて「いただきます」と食パンを口に入れた時、母は私の後ろに立つなりボサボサの私の髪に触れると、クシで綺麗に整え始めた。
母に髪を任せながら朝食を味わっていると、母が話しかけてきた。
いや、独り言かもしれないけれど……
「羽流大きくなったね。ってもう高校生なんだもんね。小さい時はよく髪くくってあげてたけど、いつの間にか自分で髪も出来るようになってたから羽流の髪触るのなんかひさしぶりだなぁ」
コーンスープを飲みながら母の声を聞いていた。
「羽流ポニーテールもお団子もなんか嫌がってたからいつもツインテールだったねー今も嫌いなの?」
「んー、あんまり好きじゃないかも」
「そう。じゃあお母さん久々に羽流にツインテールしてあげちゃおうかな♪」
「ええー!いいよいいよ!」
「ええ~なんで~?」
「なんでって私いくつだと思ってるの?!もうすぐ17だよ?ツインテールは厳しい年頃っしょ?!」
「そうかしら?全然いける年頃っしょ♪」
「いけないってー」
「大丈夫大丈夫!羽流可愛いから」
「意味わかんないってばー!!」
私の言葉を無視して母は鼻唄を唄いながら見事に私の髪をツインテールにしてしまった。