明日キミに聴かせたい
教室に入ると「おはよう」といつもと変わらぬ挨拶が飛び交っていたけれど、席に着いた途端に友達が近づいてくるなり5組の話をし始めた。
「奈津知ってる?5組の」
「下駄箱に折り鶴?」
「それもだけど、机に落書きで人殺しって」
「え…」
聞けば先程の教室から出てきた女子生徒の机に[人殺し]と書かれていて、机の中にはびちょびちょに濡れた彼女の教科書が切り刻んで大量に入っていたらしい。
嫌がらせにしては酷いことするな。と思いながら私の脳内は伏本先輩に話す言葉でほぼ埋め尽くされていた。
昼休みに先輩の教室へ行こう。
あ、でも昼休みは前みたいにいない可能性もあるから放課後?
いやいや、それじゃ遅いよなぁ。
もっと早く、、、
やっぱり今しかない!!と机をバン!と叩いて立ち上がり、私が先輩の教室に向かおうと廊下に出ると、やたら先生たちが生徒たちに教室に入れ!と叫びながら走っている姿が目に止まり、すれ違った先生が私に「教室に戻りなさい!」と肩を叩いた。
何事だ?と思いながらも、渋々教室へと戻った。