明日キミに聴かせたい
母はいつも私の事を可愛いと言ってくれる。
幼稚園のお遊戯の時も一番前の席でカメラを持つお父さんを揺さぶりながら私を指差して「羽流ちゃん世界一!!」って言っていた。
小学校に入学した時も、運動会も学芸会もいつもカメラを持つお父さんを揺さぶりながら「羽流頑張れー!」とか「あれ私の娘!」と言っていた。
中学の卒業式では私よりもカメラを持つお父さんよりも大泣きしていた。
そんなお母さんを鬱陶しいと思ったことなど無いし、私を産んでから今日まで変わらない愛情を注いでくれてるなと思う。
「羽流、お母さんね、パート辞めた」
「ふーん、、、ふぇ?え、辞めたの?辞めようと思うの。じゃなくてもう辞めたの?」
「うん、もう辞めたの♪あは」
「へぇー、そっか…なんかあったの?」
「どうして~?」
「だってお母さんがあそこで働き始めたのって私が小学校上がった頃じゃん。こんなに長く働いてたのにいきなり辞めたとかさ……」
自分のせいなんじゃないか?
自分がこんな状態だからパート仲間になにか嫌がらせとか受けてたんじゃないか?
考えればそんなことばかりな私のツインテールされた髪を母はギュッと引っ張った。
もちろん、痛い。
そんな私をよそに母は笑って「バカね」と言った。