明日キミに聴かせたい
今日だけだろうと思っていた3人に対する嫌がらせは翌日も次の日も、奈津から届くメッセージで月火水木金までの5日間連続で行われていた事がわかった。
そんな最終の金曜日の夜、奈津から珍しく電話がかかってきた。
「羽流、まだ起きてる?」
「余裕で」
「すっかり夜型になったのね」
「いやまだ21時だし」
あはは。と笑った後、奈津は、嫌がらせのせいか今日5組の子が一人来てなかったらしいよ。と話した後、奈津は少しの沈黙の後「こんなこと思うのは間違ってるかもしれないけど…」と続けた。
「羽流のこといじめてた子たちがこういう目に遭って正直ざまぁみろって思ってる自分がいるの」
「奈津…」
「本当にわかってるんだよ。こんなこと思っちゃいけないんだろうなってわかってるんだけど、だけどふとした時に思っちゃうの。羽流が受けた傷はそんなものじゃないんだぞとか、誰がやってるのかわからないけどもっとやってほしいとか、そんなこと思っちゃう自分がいるの……」
泣きながら話す奈津に私は何をどう言えばいいのかわからないぐらい奈津の想いを嬉しいと思ってしまった自分がいた。
『ほらなぁ、みんなどっかであいつらざまぁみろって思ってるんだぜ。イヒヒヒヒ。お前も嬉しいんだろう。イヒヒヒヒ』
どこにもいないはずの悪魔の囁き声が私の耳に入り込んできた。
思っちゃいけない。
そんなこと望んじゃいけない。
考えちゃいけない。
わかっていた。
わかっていたのに、本当は私もどこかで……
『イヒヒヒヒ~』