明日キミに聴かせたい
「ただもういいかなって思っただけよ」と続けて母は後ろから私を抱き締めた。
「羽流ちゃんが成人して結婚したらまたパートしよっかな~」
「遠いね」
「ふふふ」
「これからは毎日家にいるから覚悟しなさいよー」と笑いながら母は私の頬を軽くつねった後、頭にポンポンと軽く触れて離れると、向かい側の椅子に座って自分の分の食パンを口に入れた。
「あああー!自分だけチーズ乗っけてずるいー!!」
「あれ、羽流ちゃんチーズ嫌いじゃなかったっけ?」
「いつのおはなしぃぃい?!今はめっちゃ好きだよ!とろけたチーズ大好きだよ!有名バーガー店の黄色いとけないチーズは嫌いだけどとろけたチーズは大好きだよーー!」
「わかるわ。お母さんもあの有名バーガー店の黄色いとけないチーズは苦手。親子揃ってさすがだわ。遺伝ね。100%親子と証明出来るわ」
「それよりチーズ……」
「残念!これ1枚しかなかったのよ。また買ってくるから♪」
嬉しそうに私の前でチーズが乗った食パンを美味しく頂いている母を見ながら残りのコーンスープを飲み干した。
明日の朝はチーズが乗っているだろうか?
「ごちそうさま」と部屋に戻った私を待ち受けていたのは大量の奈津からのメッセージだった。