明日キミに聴かせたい

「あ、あのさ、お母さん」

「ん?」

「アルバムの…ことなんだけど…」

「あ、はいはい」

「私……受け取りに行って…も……いい?」

「「え!?」」


両親は見事に声をハモらせて目を見開きながら私を見た。


「おま…」

「そう。わかった」


何か言いたそうな父の言葉を遮るように母は冷静な声で、ただ一言そう言った。

それだけだった。

それは人からみればなんて冷たい親だと思うかもしれないけれど、私に質問攻めをしたり、心配だとか無理しないでよ。とか言うことで逆にせっかくの前向きな言動を失わせてはいけない。とあえてその一言だけにしたのかな。と私は思っている。

まぁ母に直接聞いたわけじゃないから本当の所は全くわからないけど。


というわけで、私は今朝これを決めた。

コウが満を持して出すアルバムを私はコウのために自分で受け取りに行く。

そう言い聞かすことで、頑張れるような気がしたから。

無謀かな?無意味かな?

ダメもと上等。今朝はそんな気分だった。

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