明日キミに聴かせたい
「あ、花瀬先輩!!」
「ああああー、加山さん!」
「忘れられてたんですか私?うっわ、ショック」
「嘘つけ。で、なにか?」
「その、羽流とはどうなんですか?」
「どうって…付き合ってるよ」
「嘘つけ」
「あはは、聞かなくても知ってるじゃん」
「そうじゃなくて、その…やっぱいいです!すいません!失礼します!!」
ペコッと頭を下げて教室へと戻ろうとした時、花瀬先輩が私の腕を掴みながら「白神さんになにかあったの?!」と心配度120%ぐらいの表情で私を見ながら問いかけてきた。
言うべきか言わざるべきか。
考えながら私は言わずに逃げる道を選び、先輩が私の腕から手を離した瞬間にもうダッシュで教室へと向かった。
「何やってるんだ私は…」
頑張ってる羽流の目を盗んで先輩に羽流の頑張りをチクろうとするなんてさ、羽流が先輩に話してないのに私が言ったら裏切り行為になっちゃうじゃん。
ブレザーのポケットからスマホを取り出して羽流にメッセージを打ったけれど、どんな言葉もなんか違う気がして、猫が大の字になって寝ているスタンプを送った。