明日キミに聴かせたい
そうして約束の時間から一時間ほど経って私たちは玄関で靴を履いた。
「よし、行くぞ」
「はい、奈津さん!よろしくお願いします!」
「なっちゃん、羽流のことよろしくね」
「はい、任せて下さい!では」
「行ってくるねお母さん…」
「いってらっしゃい」
そう言って母は軽く私の手を握って背中をさすって微笑みかけた。
マンションを背に私は奈津と肩を並べながら一歩を踏み出した。
駅まで辿り着いた時、ここからは電車に乗らなければならず、あまりに久々の電車に立ち止まって息を吐いていると、奈津はスッと私の手を繋いで笑みを向けた。
その瞳は、私が一緒なんだから絶対大丈夫。と言ってくれているようで、私は小さく頷いて奈津と電車に乗った。
駅数は覚えていないけれど、多分10個ぐらいだった気がする。長いはずの距離も奈津と話せばあっという間に着いた。
そして、駅から会場へ着いた時、私は有名なチャットのことだからどこかの大きなホールとかを想像していたから、まさかのライブハウスだと奈津に聞いて驚いた。