明日キミに聴かせたい
無事に会場に入れたのはいいけれど、前列はさすがにギュウギュウ過ぎて行くことを諦めた奈津は中間辺りで立ち止まったので私も奈津と並んで立ちながら、ライブハウスの中ってこんな感じなんだと辺りを見渡した。
やがて開演時間がやって来て照明が暗くなり、ステージの上にメンバーが現れてスタンバイしていると拍手や叫び声が鳴り響いた。
すると私の肩に誰かの肩が触れて「すいません」と謝る声で私は男性だと気づきながら「いえ」と見えない相手に向かって呟いた。
「チャットォエオオ!!!」
「ナツーーー!!!」
ステージの照明がつき、メンバーが見えたと同時に飛び交う声はイントロが聞こえた瞬間に嘘みたいに静まり返った。
ライブはこうしてスタートした。