明日キミに聴かせたい

「さーてと、じゃあ伏本先輩でも探しますか!」と奈津を見ると、まだ口をパクパクさせながら「え、伏本先輩って何?!」と私にオレンジジュースを手渡しながら言った。


すると探す手間が省けたなと私に手を振りながら近づく伏本先輩を見て思った。


「白神さん、久しぶり」

「こないだはご馳走さまでした」

「どういたしまして。加山さんも久しぶり」


その言葉に奈津は頭がなんだかパニックになったのか?思考が停止してしまったのか、じっと先輩を見ていたかと思えば急に「先輩、ごめんなさい!」と謝り始めた。

なんのことだ?と思いながら私はすぐに先輩の自宅に電話した件か。と思いながら先輩を見ると、先輩は優しい表情を奈津はに向けていた。


「顔上げて。別に怒ってないからさ。確かに教えてないのになんで家電知ってるんだろう?とは思ったけどね。ははは。ほーら、顔上げて」


まだ顔を上げない奈津に近づくと先輩はグイッと奈津の顔に触れて顔を上げさせると「何泣いてるの、笑って」と奈津の頬をつねった。

おいおい、周りから見たらあんたら十分カップルオーラ出てるぞ。間違えられても仕方ないぞ。と二人を見ながら思った。

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