明日キミに聴かせたい
「あ、あ、あれは…光希さ…だったんですか…」
「うん」
ずっと頭にあった。
ずっと誰かを知りたかった。
ずっと聞きたい事があった。
「あの時…ど、どうして…私に…?」
すると光希さんは私に近づくと頬を伝う私の涙を指で拭いながら「ある人に似てたんだ」と少し哀しげに言った。
「ある人…?」
「うん。ある人」
そう言うと光希さんは笑みを取り戻したけれど、それ以上は聞かないでほしいな。というような笑みを私に向けた気がしてズカズカと踏み込むことを私はしなかった。
そして光希さんからティッシュを受け取ってまだ溢れる涙を拭っていた時、私の目はある物を見つけてしまった。
そのせいで私の涙はピタッと止まったのだが、光希さんは「ちょっと目を赤くさせちゃったね。ごめん」と言いながら「落ち着いたらおいで」と部屋を出て行こうとした。
私はそのある物に近づきながら出て行こうとしている光希さんに問いかけた。
「光希さんが……コウ…なんですか?」