明日キミに聴かせたい
私の言葉に光希さんは「どうしてそう思うの?」と出ようと踏み出した足を戻して私に問い返してきた。
「だって…」
もしもコウならどうしよう…
私はさっきより泣いてしまう気がした。
泣いて頭の中は大パニックで、聞きたい事が溢れて止まらなくなってしまいそうだ。
あなたが好きだと言ってしまいそうだ。
「これ…」
コウであってほしいとどこかで思いながらざわつく胸も速まる鼓動もうるさいうるさいうるさい。
「このぬいぐるみ……」
コウであってほしい。なのにコウであってほしくない矛盾が私の胸をどんどんざわつかせて静まらない。うるさいうるさいうるさい。
「このぬいぐるみもこの壁も…コウが…いつも動画をアップしてる時の場所と……同じです……」
いつも動画を再生するたびに映る可愛いぬいぐるみと壁は絶対忘れないほど目に焼き付いていた。
「はぁ」
もしもコウであるなら私はこのあと何を言おう。
どの感情を伝えよう。
何をどうしたらいいだろう。
私は……
「ごめん」
振り向いて見た光希さんの瞳は黒く、なぜだろう、光が見えなかった。