明日キミに聴かせたい
「期待しただろうけど、俺はコウじゃないよ」
「うそ…」
「本当にコウじゃない。ごめんね」
光希さんは、その答えにうつ向く私に近づくと、ポンポンと私の頭に優しく触れ、みんながいるリビングへと戻るために部屋を出た。
"俺はコウじゃないよ"
"本当にコウじゃない。ごめんね"
絶対コウだと思った。
名前からしたってそれっぽかったし、この壁にこのぬいぐるみときたら間違いないって思った。
思ったのに……
「ははは……」
勝手に光希さんがコウだったらなんていっぱい考えてバカみたいだな私。
コウであってほしい。とかコウであってほしくない。とかあっちこっち勝手に揺れて、ざわめいて勝手に落ち込んでさ、本当に……
「私のばか……」
拭うものなんてとっくに止まってなくなっているのに、私は目を何度も拭い、気持ちを切り替えてみんながいるリビングへと戻った。