明日キミに聴かせたい

「何これ…」


私が呟いた声に奈津が気づいて振り返るなり「どした?」とシャーペンを置いて近づいて来るなりそのままベッドに座り、私が持つスマホの画面を覗き込んだ。


-白神 羽流さん、君に会いたい。


「花瀬……?誰?羽流の知り合い…じゃないか」

「うん、知らない」

「んー、あ、これ名前か!」

トーク画面に写る丸いアイコンの下に小さく書かれた文字を二人で読んだ。


「「な…お…?」」

「花瀬……名雄か?」

「花瀬名雄ってあの花瀬名雄かな?」

「え、奈津知ってるの?!え、誰誰誰誰?」

「もしだよ?もしその花瀬名雄が私の知ってる花瀬名雄なら……学校の先輩だよ。確か橘先輩とたまに一緒に……い……あ、これ!この人が花瀬名雄先輩」


奈津は鞄から自分のスマホを取り出すと、クラスの女子がそれなりにいいカメラで橘先輩を盗撮した凄まじい数の写真の画像から1枚の画像を私に見せながら話した。


「この人が……これを…」


橘孝太郎の横に並びながら笑顔を見せているこのイケメ……

「橘先輩よりは落ちるけど、いちをこの人のこと好きって子もいるから人気はあるみたいよ」


その声を他所に私は心の中で、おい奈津何を言う。今の言葉を撤回しやがれ。正直橘孝太郎よりイケメンだぞ。と呟いた。


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