明日キミに聴かせたい
あ、あの日と同じだ。
歩いてもいないのに胸が温かくなっていく。
頬が、ポッポと熱い熱い熱い。
「花瀬…先輩…」
呟いた瞬間に生まれ落ちた感情は、今までの自分にないほど明るくて、温かくて、優しくて、、、
「ねぇ、これが恋なの?香菜ちゃん…」
本棚から何度も読んだ少女コミックを取り出してページを探した。
親友の香菜ちゃんから「それが恋だよ!優未!」と言われた主人公が香菜ちゃんに呟くシーンを開きながら私は火照る自分の頬に触れた。
その人の放った言葉がその人の声で思い出す度に再生される。
今までなんとも思わなかった遅い返事や態度が気になる。
一つ一つの言動に胸がざわつく。
気づいた時にはその人の事が気になって仕方なくなっている。
名前を呟けば、好きと続けば、自然と火照る。
「私は……花瀬先輩が……好き…?」
枕に頭を乗せて私は布団を深くまで被った。
そして………