明日キミに聴かせたい
"綺麗だね"
コロコロ変わるその色はまるで、春に君と見た夜桜、夏に君と見た夜空、秋に君と見た紅葉、冬に君と見たイルミネーションのようで胸がぎゅうっと締め付けられた。
"来年も一緒に見ようね"
「…春音…」
ライブ終わりに見上げた冬空も街に輝くイルミネーションも、きっとまた君が見たら繋いだ手を少し強く握って「綺麗だね」と言って笑うんだろうな。
そして俺が「春音はもっと綺麗だ」と言うと「ないない!」って恥ずかしそうに顔をうつ向くんだろう。
けどそれが可愛くて顔を覗き込んで街中だろうがお構い無しで俺が君にキスをしたら更に真っ赤な顔をして「…人が…見てる…」と言うんだろう。
そんな君に「大丈夫。俺は春音しか見えてないから」と言うと「それ危険すぎ」と言って二人で笑い合う。
あの日々にはもう二度と戻れない。
どんなに同じ季節が巡っても、同じ場所で同じ物を見ても、愛する人はいない。
それでも俺はまだどうしたってゆっくりと目を閉じてどこにもいない春音を探した。