明日キミに聴かせたい
「で、ここらが本題だけど」
「あ、うん。どうだった?」
実は昨日、あの後お母さんが部屋にご飯を持ってきてくれたのを二人で食べながら話しをした。
「とりあえず花瀬先輩のこと橘先輩に聞いてみるから、返事はちょっと待って」
奈津はそう言って私のスマホを指差した。
「うん。奈津の言う通り本当にこの花瀬名雄がその花瀬名雄かわからないもんね」
「もしそうだとしてもさ…理由がわからないもんね。本当に羽流の言う通りお金目当てだったらさ……その…」
奈津はその続きをなかなか言わなかったけれど、言わんとしていることは私にもわかっていた。
もしお金と交換していたなら橘先輩は最低だ。そんな人を好きなんて自分が嫌になる。
そんな先輩は嫌いだ。
もう嫌いだ。大嫌いだ。
とでも言いたいんだろうけど、好きな気持ちを嫌いに変えるのは好きな気持ちが強ければ強いほど難しいものなんだろうなと思った。