明日キミに聴かせたい

スマホとにらめっこしている私に気づいた奈津がみかんを食べながら私の隣に座るとスマホを覗き込んで一言。

「我慢出来なかったか」と言ってまたみかんを口にふくんだ。


そう、花瀬名雄からメッセージが来たのだ。


ーこの前は突然ごめん。
改めて自己紹介していい?
キミと同じ高校に通う2年の花瀬名雄です。


「知ってるっつーのね」と奈津がもぐもぐと口を動かしながら人指し指で画面に触れると、メッセージをどんどん読んでいった。


ーいきなりメッセージなんかきてビックリしたよね。本当にごめん。あんな質問もいきなり意味わかんなかったよね。ごめん。


奈津は黙ってメッセージを読み進めてピタッと動かしていた指を止めた。

「羽流…」

ちらりと私を見た奈津は私の言葉を待ちながら画面をちらちら見ていた。

私はそんな奈津に気づいていながらも言葉が出てこなかった。

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