明日キミに聴かせたい
ーそれと勝手にIDを突き止めたりしてごめん。本当にごめん。怖い思いさせたよね。何こいつって思ったよね。ごめん。
ーこんな奴が言う言葉を信じてくれるかわからないけど、俺はキミが好きです。
「好きって何それ…」
やっと口から出た言葉は嬉しいわけでも悲しいわけでも怒りもない言葉だった。
「マジかな?」と言う奈津に「うそうそ」と手を左右に振った。
すると奈津はみかんをカゴから取り出して皮をむいている私をよそに、勝手に花瀬名雄にメッセージを送った。
ー信じられません。先輩が私を好きになった理由がわかりません。
「ちょ、何勝手に送ってるのよ!?」
少々戸惑う私に奈津舌を出して笑った。