明日キミに聴かせたい
入学して日が経った頃、桜の木はあんなに沢山の淡いピンク色の花びらを身に付けていたはずなのに、気づけば散りに散ってもうなくなりつつあった。
その木を教室の窓から眺めていた私は、放課後に入学して初めて近くまで桜の木を見に行った。
残り僅かな桜たちが散りゆくのを間近で立ち尽くしながら見ていると、後ろの方から私の名字を笑いながら呼ぶ女子たちの声がしてスカートをぎゅっと掴んだ。
その後、誰かが近づいてきて「寂しいね」と言ったので「また春が来るのが楽しみです」と言った。
その時その人は「きっとその時には君は強くなれてるよ」と言って去ってしまったし、名前も知らないけれど、あれは花瀬名雄じゃなかった。
それだけは確かだった。
すると、しばらくして花瀬名雄から返事がきた。
その言葉を見てやっぱりなと思った。
ーごめん。嘘ついた。