明日キミに聴かせたい
ーどうしてそんな嘘つくんですか?
聞けば、会って話したことがある方が怪しまれないかもと思ったからだそうだ。なんだそれと思いながら私は更に花瀬名雄に問いかけた。
ーどうしてそのやりとり知ってるんですか?
ーその場にいたから。
ー本当ですか?
ーこれは本当!!あとキミの事を好きなのも!!
その場にいて私を好きになった?
いやいや、さすがにそれは無いか。
そう思いながら首を左右に振って理由を訊ねると、花瀬名雄は、教えない。と言ってきた。
ー恋にさ、人を好きになるのに理由とかいる?そんなに理由が大事?
おおっと、これは、また、どこかで聞いたことがありまくりなような気がする言葉だなと思いながら私はなんだかもう怒りも苛立ちも感じずに笑えてしまった。
なぜだろう、あの橘孝太郎と友人関係ならきっと悪い奴だとどこかで思っていたけれど、嘘をつきまくりなこの花瀬名雄がすごく悪い人には思えなかった。