明日キミに聴かせたい

一瞬曇った空が視界に入った時、床に倒れる自分が見えて思わず私は片手で口を塞いでしゃがみこんだ。


「え、羽流?ちょ、どうしたの?!大丈夫?!吐くの?トイレ?」

しゃがみながらテンパる奈津に「大丈…夫…」と口を塞いだ状態で話す私の背中に触れながら奈津は「部屋行こ、ね?」と中に入るとドアを閉めて鍵をかけた奈津は、靴を脱いで「お邪魔します」と私しかいないのに挨拶をして私を部屋へと連れて行ってくれた。


「羽流、飲みな」

その後すぐにキッチンへと向かった奈津は冷蔵庫にあったミネラルウォーターをわざわざコップに入れて持って来てくれた。


「大丈夫?落ち着いた?」

うん。と頷いてコップに口を付けた。

しばらく思い出さないように過ごしていたはずなのに、どうして…だめだ。考えちゃだめだ。思い出してしまう。忘れよう忘れようと首を左右に振った。




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