明日キミに聴かせたい

「し~ら~か~み~♪」

そう呼ばれる度に鳥肌が立った。

逃げれば道を塞がれた。

大きい声を出しても笑われ、抵抗してもバカにされ、母が毎朝作ってくれたお弁当は昼休みを迎えた頃にはぐちゃぐちゃにされていた。


「あはははは!!」


笑い声が聞こえるとビクッと肩が震えるようになった。


「うっ!!」

そして桜も散りゆく日、私は初めて人に蹴られた。

「白神さんは神の子なんだからこれぐらい痛くも痒くもないっしょーあはははは」

ただちょっとつまずいてしまっただけなのに、立ち上がろうとした時、後ろから蹴りを入れられて私は床に倒れた。

そんな私を見下しながら高らかに笑う3人の顔は、まるで口が裂けたピエロの様に見えた。

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