明日キミに聴かせたい
どうして自分が蹴られたのかわからず、問いかけたけれど「聞こえねーよバーカ!」と最後に強めの一発を受けた私は、しばらく床に倒れたままうずくまっていた。
立ち上がった時、放課後のシンとした教室の窓から見えた桜の木が目に止まり、私は鞄を手に痛む体を教室から離すように出て行った。
教室にあいつらが戻ってこないうちにこの場からいなくなりたかった。
「はぁ…はぁ…」
散りも散ってなくなりつつある桜の木を前に私が立ち尽くしていると、後ろから「し~ら~か~み~ははは」と笑いながら大声で私の名字を呼ぶ声がしてスカートをギュッと掴んだ時、微かに蹴られた背中が痛んだ。
その後、誰かが私に近づいて「寂しいね」と言った。
その言葉に私は、私は少しだけ涙が溢れてしまいそうになったのを堪えながら呟いた。
「また春が来るのが楽しみです」と。