明日キミに聴かせたい
すると、誰かは息を吸い、静かに吐くと「きっとその時には君は強くなれてるよ」と言った。

その言葉に振り向くと、誰かは背を向けて歩いて行ってしまった。


「なれて…たらいいな…」


そう呟いて少し肩が震えた。


やがて桜の木は何もかもなくなり、私は教室で変わらぬ毎日を送っていた。

見てみぬフリをされている事にも気づいたし、どれだけ自分が叫んでも誰も目を合わそうとしない事にも気づいたし、先生に話しても何も変わらないままだった。


ある時、思いきって奈津に話そうと奈津がいる教室に向かった私に奈津は「どうしたの羽流~?」とにこやかに教室から出て来てくれたけれど、「奈津~」と奈津の後ろから彼女をにこやかに呼ぶ友達の姿と奈津の「何~?」とにこやかに返事を返すやりとりを見て私は何も言えなかった。
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