明日キミに聴かせたい

ナンパされた奈津は、嬉しさのあまりクラスと名前を教えたらしく、そのまま某アプリのID交換もしたらしい。

で、下校しようと下駄箱に向かう途中で橘先輩からメッセージが届いて……


「これ!」


-また明日。気をつけて帰りなよ。


絵文字もなんもないシンプルな文字を私に見せながら奈津はキャッキャと一人私にしか見えないのだろうか?ハートや花が飛び交い、猫耳がピクピク動き、尻尾がクネクネさせていた。


まぁなんというか奈津が幸せそうだからこれでいいんだろうなと思いながら奈津が畳の上に置いた箱をテーブルの上に置いて蓋を開け、カラフルなドーナッツたちにヨダレが出そうになりながら私はジュースを入れにキッチンへ向かおうと部屋を出ようとした時、後ろから奈津が声をかけた。


「羽流、話しまだ終わってないから座って」

「まだイチャイチャ話に続きあるのー」


渋々開けた部屋のドアを閉めて同じ場所に座り、せっかく開けた箱を閉めた奈津の手を見ながら「さっきまでパリピってたの?」と言うと「違うし」と笑いながら奈津が続けて放った言葉の意味を珍しくすぐに整理して処理することが出来なかった。



「羽流のIDも先輩に教えた」




キレてもいいですか?


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