明日キミに聴かせたい

「え?あ、あ!!加山奈津さん…やば」

口を手で塞ぎながら私を見た花瀬名雄は、自分を探されていた理由をすぐに理解したようで、思わずやばそうな顔をした。


「あ、君が加山奈津ちゃんなんだ。初めまして、俺は名雄の親友の伏本勇生(ふしもとゆうき)です。名雄から聞いてるよ。なんかこいつが色々ごめんね」

「あ、いえ……」


イケメン男子生徒改め伏本先輩のスマイルにまたも私の胸が射抜かれてしまった。

「あの、ここじゃなんなんで、場所変えようか」


そう切り出した花瀬名雄に私は頷き、私たち3人は中庭へと場所を移した。

ベンチに座るなり、伏本先輩は何も言わず花瀬名雄の隣でパンの袋を破き「いただきます」と食べ始めたその片方の手にはバナナジュースが持たれていて、可愛い!!なんて思いながら私は笑みを堪えて花瀬名雄に問いかけた。


羽流に対するあれやこれやを全て。

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