明日キミに聴かせたい
「先輩、羽流の事本気なんですか?」

遠回しなんて面倒で、直球で先輩に問いかけると、先輩は迷いも間もなく「うん」と言った。

「いつからなんで羽流の事好きなんですか?」

「ああー、それは黙秘」

「じゃあなんで橘先輩にあんなこと頼んだんですか?」

「え?ああ~羽流ちゃ……あ、羽流さん突然学校で見かけなくなって、なんとか連絡先知りたくてさ…そしたら橘から不登校になってるらしいって聞いて、やっぱそうなんだって思って……」

「やっぱ?」

「うん。桜の木の話は聞いてるかな?」

「ああ~花瀬先輩が嘘ついたやつですよね」

「それは本当にごめん。でもあの日俺もあそこに居合わせてたんだ。その時、女子たちが彼女の名前を大声で笑いながら呼んでてさ…普通仲良かったら振り返って笑って言い返したりするじゃん?でも彼女はただ立ち尽くしててさ、その時ちょっと違和感があって……もしかしてって……」

続けて花瀬名雄は、橘先輩から聞いた時、マジかと思いながら自分がもっと早く声をかけていたら……なんてとさも自分なら助けられたみたいな言い方をした。


私は思わず「は?」と呟いていた。

< 92 / 250 >

この作品をシェア

pagetop