明日キミに聴かせたい
誰も気づけなかった羽流のSOSに気づいていたら自分なら助けられたなんてふざけんなよ。
そんな想いを抱いたのはお前だけじゃねーんだよ。
お前だけが助けられたみたいな言い方すんじゃねーよ。
羽流の両親だって、私だって、何度も何度も思っては自分を責めたよ。
もっと早く気づいてあげれていたら………
もっともっと羽流の異変に気づいていたら……
もっともっともっと羽流と話していたら………
もっともっともっともっとって、何度も何度も何度も考えたよ。
「ごめん、今の言い方むかつくよな。気持ちは君だて同じなのにな…」
そう言うと花瀬名雄はパンの袋を破きながら、もう片方の手で私の頭に優しく触れた。
その手に自分が初めて泣いている事に気づいた私は、こんな奴の前で泣いてしまった!!と涙を拭うと、その場から逃げるように走って教室へと向かった。
後ろから二人の声が聞こえたけれど、恥ずかしさのあまり立ち止まることも、振り返ることもせず、ただ教室まで走った。
着いた時には息は荒く、席に着いた時にはどっと疲れが襲っていた。