明日キミに聴かせたい
相変わらず曇りな11月の空を横目に、進んでいく授業中に私の脳内は伏本先輩で溢れていた。
バナナジュースを飲みながら微笑む伏本先輩。
その横でお弁当を食べていると先輩の手が私の頬に触れ、その指が私の唇に触れ「ご飯付いてるよ」とか言いながら先輩がその米をかぷりと食べて微笑む。
その口に入れた先輩の指を見ながら、あの指になりたいなんてドエロな妄想をする自分。
すると先輩の顔がゆっくりと私に近づいてきて……
「奈津。目閉じて…」なんて言われて心臓が……もう……ああ……伏本……
「先輩……」
「何?」
その声にガバッと顔を上げると、伏本先輩が先程と変わらぬスマイルで私を見ていた。
「え?は?え、あ、先輩な、なんで??」
「名雄と二人で加山さんに会いに来るつもりだったんだけど、名雄ちょっと職員室に用あってさ、で、加山さんが帰らないように見張りで俺が先に来たわけ」
思わず口が空いたまま私が教室の時計を見ると、時刻はすっかり放課後になっていた。
授業のたびに妄想を繰り返していたせいか、まさかの授業内容を覚えていないなんて……
それより伏本先輩に寝顔見られたなんて……爆死した気分だと顔を伏せた。