俺様ホストは 溺愛率100%
ゴクリ…
唾を飲み込むと、逃げる態勢に入る。
この人酔っぱらってるみたいだし、私が全力で走れば逃げ切れるよね…
タイミングを伺いながら、一歩後ろに下がった。
「昨日も封筒を拾ってくれたのキミだよね?」
ビク!
タバコの白い煙を吐きながら、男性が聞いてきた。
「…」
上から見下ろされているためか、怖さを余計に感じる。
「…」
…もう、諦めるしかないかー…
一歩後ろに下がっていた足を、元の位置に戻した。
「は…はい」
覚悟を決め、消えてしまいそうな声で返事をした。
「…やっぱり」
男性はそう言うと、ポケットから灰皿らしきものを取り出し、タバコの火を灰皿に押し付けて消した。