さざなみの声
2
相沢家の食卓は、とても賑やかで……。お母さんとお義姉さんの作ってくれた料理は見た目も華やかで手が込んでいて本当に美味しかった。お酒も勧められたけれどシュウは、お祝いの乾杯だけで
「昨夜かなり飲んだし寧々を送って行くから」
ときょうは飲まなかった。
お父さんとお兄さんは嬉しいお酒だからと進んでいたようだった。お兄さんご夫妻とも話も出来て、すぐに打ち解けられた。どんな方なのか少し不安もあったのだけれど何も心配する事などなかったのだと思った。
しかも海外赴任の先輩として、いろいろアドバイスをしてくださった。特に、お義姉さんが話してくれた妻の役割はとても参考になった。
「きょうは、ありがとう。僕たちのために」とシュウ。
「何言ってるんだ。そんな他人行儀な言い方なんかするな」とお父さん。
「じゃあ悪いけど、そろそろ僕たちは……。明日からも仕事だから」
「すみません。片付けのお手伝いも出来なくて……」
「寧々さん、きょうは二人が主役なんだから気にする事ないのよ。私たちは、あなたたち二人を肴にまだ盛り上がるから」とお母さん。
「気を付けてな」とお父さん。もうかなり出来上がってる。
「じゃあ、また来るから」
「お邪魔しました」
シュウと車に乗って
「寧々、マンションに寄って行く?」
「そうね。少しなら……」
シュウのマンションに着いて部屋に入って
「まだ片付けまで手が回らないわよね。少しでも片付けようか?」
「寧々……」とシュウに抱きしめられた。
「もう僕たち夫婦なんだよ」
シュウの腕の中で私は頷いた。
「本当なら今夜くらいホテルのスウィートにでも泊まりたいけど」
「ううん。そんな心配しないで。シュウと居られれば幸せだから」
「きょうは特別な日になったんだよ。生涯、僕たちの結婚記念日だから」
「はい」
そう言ってシュウの顔を見上げたら唇を塞がれた。優しく何度も……。
そしてシュウの熱い想いを感じて抱き上げられた。シュウの作る優しい空間で夢中で愛し合った。何もかも溶けてしまいそうなくらい熱いお互いの体を確かめ合った。
シュウのすべてが愛しくて何でもしてあげたいと願う。こんなにも愛されていると強く思い知らされる悦び。心も体も溶け合ってシュウと私は元々一つだったのかもしれない。そんな気がした次の瞬間キラメイテ真っ白な光がすべてを覆い尽くした。
「寧々、愛してる」
額に掛かる髪をかき上げられて唇にキスされた。
「シュウ……愛してる」
シュウの熱に、まだ冷めないでいる体のまま。昨日までの私たちとは違う。生涯離れる事はないんだと誓い合った。