さざなみの声
3
お食事を始めていただきながらシュウと寧々は来てくださった皆さんのテーブルを回って挨拶をした。キャンドルサービスこそなかったけれど、二人の姿はまるで華やかな結婚披露宴の花嫁花婿そのものだった。
「店長……」
「寧々ちゃん、シュウ君、おめでとう。みゆきさんが知らせてくださったの。きょうここで二人の結婚のパーティーをしますから、ぜひ出席してくださいって。寧々ちゃんが自作のウェディングドレスを着ますからって教えてくれたのよ」
「みゆきが……」
「ええ。本当におめでとう。二人が幸せになってくれれば良いのにって思っていたのよ。ねぇシュウ君」
「ありがとうございます。報告が遅くなってしまってすみませんでした」
「えぇ?」
「店長には寧々のことで相談に乗ってもらってたんだ」
「私……。知らなかった」
「あら、寧々ちゃんも電話をくれたじゃない。シュウ君と結婚することになりましたって」
「でもその後シュウの海外赴任が決まって……。店長には連絡も出来なくて……」
「いいのよ。シュウ君が入籍の報告をくれたから安心してたわ」
「シュウ、いつの間に?」
「店長が言ってくれたんだ。寧々を幸せにしてあげて欲しいって」
「私、知らなくて……。いろいろありがとうございました。本当にお世話になりました」
「寧々ちゃん、幸せにね。ウェディングドレス素敵よ。とても良く似合うわ。素晴らしいデザイナーになったのね。本当に良かったわ」
店長は涙ぐんで祝福してくださった。