さざなみの声
ウェディングドレス
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デザイン室のチーフをはじめデザイナー、パタンナーの先輩後輩も来てくれていた。
「この前、素敵な送別会をしていただいたばかりなのに、ありがとうございます」
「あれは送別会でしょう? きょうは寧々さんのウェディングドレス姿が見られるんだもの。絶対に来るわよ。披露宴も同然ですもの。ねぇみんな」
チーフは心からの笑顔で言った。
「本当に素敵よ。寧々さん良く似合ってる」
「ご主人が素敵な方で羨ましいかぎりよね。とってもお似合いのお二人ね」
とみんなに冷やかされた。
「あぁ、この子、昨日入ったばかりの新人デザイナーの由美さん。寧々さんにずっと憧れていたんだそうよ」
「つい先日まで受付に居ました。ずっとドレスのデザイナーになりたくて。ウェディングドレスのデザイナーとスタッフを募集しているのを知って応募したんです。副社長に面接をしていただいて昨日デザイン室に配属になりました。寧々さんのようなデザイナーを目指して頑張ります」
「由美さん、素晴らしいデザイナーになってね。願い続ければ必ず想いは叶うから。夢を叶えるチャンスをくれる会社なの。私も一緒に頑張るから」
「はい。ありがとうございます」
由美は感激していた。
シュウと寧々は来てくださった全ての方々のテーブルを回って丁寧にお礼を言い、楽しく話しをした。次に会えるのは、しばらく先になるだろうし、せっかくの日曜日に二人のために、わざわざ時間を作って来てくださったことに言葉に出来ないくらい感謝していた。
そして社長、副社長のテーブル。お二人には心から感謝してお礼の言葉を伝えた。
「あの日お二人に出会えて幸せでした。夢も叶えてくださって……。どれだけ感謝しているか……」
「何言ってるの。寧々さん、あなたに出会えて幸せだったのは私たちの方よ。あなたが提案してくれたデザイナー志望の子が、たくさん出て来てくれてるの。もう何人か面接もしてデザイン室に配属が決まったのよ。販売や縫製をしていた子の中にも、きっとまだまだ居るわ。寧々さんに続く子がね」
「副社長……。本当にありがとうございました」
泣き出しそうだった。
「花嫁は泣いては駄目よ。笑顔でいなきゃね。生涯で一番綺麗な日だから。寧々さん幸せで輝いているわよ」
副社長の寧々への眼差しには我が娘を嫁がせる母親のような温かい愛情が溢れていた。