さざなみの声
女友達
1
数日後みゆきからメールがあった。あの居酒屋で飲もうとのお誘い。すっぽかされてからも二ヶ月に一度くらいは会っていた。
みゆきは出版社勤務で時間は不規則。私も平日休みだったり終わる時間も早かったり遅かったり。携帯に掛けても出られる時間かどうか、お互い分からない。だから連絡方法はメールになる。都合のいい時に見てくれればいいし、こっちも助かる。
私が着いた時には、もうみゆきは一人で飲み始めていた。
「久しぶり」
とみゆき。
「二ヶ月くらい前に会ったけど」
とウーロンハイを注文をして
「きょうは何かあったの?」
と聴いてみる。
「この前、会ったのよ」
「誰に?」
「シュウによ」
「そう」
「驚かないのね」
「私も会ったもの」
「どこで?」
「家の店」
「来たの? えっ? 何で、何しに?」
「買い物によ」
「男物なかったわよね。本当に何しに来たの?」
「彼女連れだったわよ」
これ以上詳しくは言わない。武士の情け。
「みゆきは? どこで会ったの?」
「家具屋さんに居たら偶然バッタリよ」
「家具店? みゆき結婚でも決まったの?」
「実はそうなの。それを報告しようと思って」