さざなみの声
3
そして十月……。みゆきから披露宴の受付を頼まれた。お式は仏前で親族だけで行われる。その間に来られる披露宴の招待客の受付に学生時代の友人数人と立つことになった。
お式の前に、みゆきに会っておきたかったし早めに出掛けた。会場に着くと、みゆきのお母さま。
「ご無沙汰してました」
「まぁ、寧々さん久しぶりね。綺麗になって。みゆきのお支度もう出来てるのよ。会ってやって」
と花嫁の控え室に通された。
「寧々」
白無垢に淡いピンクの打掛姿。
「みゆき綺麗よ。本当に綺麗……」
「ありがとう。受付、シュウも頼んだから仲良くやってね」
「えっ? シュウも? 分かった」
「次は寧々とシュウの番だといいんだけど」
ごめん。悪いけどそれは無いわ。心の中で答えた。
「じゃあ後でね」
とみゆきに言って部屋を出た。
女性が生涯で一番綺麗な日なのよねと友人ながら、その美しさに惚れ惚れして幸せな気持ちで受付に行くとシュウがもう来ていた。
「寧々、綺麗だ。素敵なドレスだね。良く似合うよ」
「ありがと。でもみゆきの方が綺麗よ。主役だもの」
「そうだね。きょうは、そういう事にしておこう」
すると「ごめん。遅くなって」麗子だった。
「大丈夫よ。久しぶりね。元気だった?」
「うん元気よ。ところで、あなた達はまだなの?」
「寧々が、もう少し仕事をしたいって言うから待たされてるんだ」
「そうなの。あっごめん、ちょっと化粧直して来ていい?」
「いいわよ。まだ招待客の方も、あまりいらしてないから」
「じゃあ、ちょっと行って来る」
麗子は大学の同級生。みゆきと三人で、よく一緒に居た。
「シュウ、あんなこと言って……」
「大丈夫だよ。別れた理由、説明出来ないだろう。そんな時間もないし」
シュウはこういう場面で誰も傷付けず上手く収めるのは昔から得意だったなと変なことを思い出していた。
招待客も皆さん集まって、そろそろお式も終わる頃。全員で集合写真も撮って披露宴が始まった。私はシュウと麗子と、あとみゆきの高校時代の友人数人と同じテーブルだった。新郎が勤める役所の上司のスピーチから始まって乾杯が済むと後は忙しくコース料理をいただいてテーブルごとに、おしゃべりしたり宴会好きそうな親戚の叔父さま方が、お酌に来る。賑やかな披露宴の風景……。
主役のお色直しは純白のドレス。みゆき本当に綺麗、輝いてる。二時間半の披露宴も、あっという間の出来事。新婚旅行は明日、成田から旅立つ予定だそうだ。スイスへ八日間行って来ると聞いていた。世界一幸せそうな二人に見送られて会場を出た。
麗子が
「寧々、携帯変わった?」
「ううん。番号もアドレスも変わってないから」
「じゃあ今度、連絡するね」
「何? 麗子も近いとか?」
「来年の六月くらいになると思うけど……」
彼が迎えに来てるからと麗子は「じゃあね」と帰って行った。