さざなみの声
4
玄関のドアが開いてシュウが帰って来た。
「ただいま。店すごい人だったよ。あれじゃあ出前は無理だね」
「ありがとう。じゃあ美味しいお茶を入れて、いただきましょうか」
食事を済ませて、しばらく待ったけれども
「父さん遅いね」
「そうね。また寧々さんと会う機会は、いくらでもあるわ。今夜はもう送って行ってあげたら? 明日は仕事ですものね」
「じゃあ、また伺います」
「えぇ、いつでも来てね。楽しみに待ってるから。ねっ、シュウ」
「分かったよ。分かりました。ちょくちょく連れて来ます」
おばさまと私は笑っていた。玄関で
「ごちそうさまでした。おやすみなさい」
「気を付けてね。おやすみなさい」
「母さん、ここでいいよ。外で転んだりしたら大変だから」
「えぇ、ありがとう。シュウ、ちゃんと送って行ってあげてね」
「うん。じゃあ、おやすみ」
私たちは車に乗ってシュウの家を後にした。