さざなみの声


「寧々、ご飯どうやって炊くの?」

 ちゃんと炊飯器の置き場所を確保してシュウが言った。

 オイ! そこから? 仕方ない……。

「まず、中釜を出して洗って」

「分かった」

 そこから始まって、お米を量って洗って水加減をして炊飯器にセット終了。スイッチオン。ここからが大変。まず、お浸し。フライパンに水を入れて沸騰したら洗ったホウレン草を茹でて、ざるに上げて水で冷やして切る絞る。味付けは醤油、砂糖、味醂、胡麻。すり胡麻で良かった。次、煮魚。さっきのフライパンを洗って醤油、味醂、料理酒と砂糖を入れて煮立ったら切り身の鰤を入れて煮るだけ。時々煮汁を掛けながら。その次は、お味噌汁。鍋に水を入れて沸いたら、だしを入れて、それから味噌を溶かす。グラグラと煮立たせない。風味が落ちるから。きょうは豆腐、わかめ、ねぎだから、後から入れてさっと火を通す。他の具で作る時は具が煮えてから味噌を入れるのを教える。ラストは玉子焼き。

「シュウの家の玉子焼きって甘いの? 辛いの?」

「母さんの玉子焼きは甘いよ。甘くて黄色いの」

「分かった」

 さっきの煮魚を温めてお皿に乗せる。フライパンが一つしかないから洗って使い回し。順序を間違えると大変。油を引いて卵に砂糖、味醂、塩、醤油少々を入れて混ぜたものを少しずつ流し入れて巻きながら焼く。

「僕って結構上手くない?」

「うん。上手だと思うよ。料理の才能あるのかもね」

 と煽てておく。これは後々私が非常に助かったりするかもしれないから……。焼き上がったら切って出来上がり。ご飯も炊けた。

 お疲れさん私。超初心者に教えるのって大変なことだと悟った。
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