さざなみの声

９

　テーブルに並んだ自分で作った夕食に満足そうなシュウの顔。

「すごく美味そうだよ。食べよう」

「うん。シュウ頑張ったよね。本当に美味しそう」

　まぁ味付けの基本は私が決めたし……当然だけど。

「いただきます。……うん。玉子焼きこんな感じだよ。母さんの」

　玉子焼きだけは慣れ親しんで来た味が良い。これは譲れないと思う。

「美味かった。やっぱり家で食べるご飯が一番美味しいな」

「きょう作った物の調味料の割合とかメモしようか？」

「ノート出すから全部書いておいてくれる？」

「シュウ、本気で料理する気になってるみたいね」

「寧々、これから週末ここで晩ご飯食べない？　いろいろ教えて。仕事とか他の用事がある時は無理に来て欲しいとは言わないけど」

「毎週、調理実習するの？」

「寧々が土日空いてたら土曜日の午後に迎えに行くから二人で買い物して一緒に晩ご飯作って食べよう。忙しかったら土曜か日曜のどちらかでもいいし」

「いいけど」

「次の土日は？　仕事忙しいの？」

「しばらくは定時で帰れると思うから土日も休めると思う」

「じゃあ決まり」