さざなみの声
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「実は一昨日、ここへ来てから実家に行っただろう。家でも言われたんだ。母さんは寧々さんをどうするつもりなのって。普段は何も言わない父さんまで、もしも五年帰れなくなるようなことになったら寧々さんは待って居てくれるかどうか分からんぞ。あちらのご両親だって心配で。寧々さん三十三歳になるんだぞ。あの寧々さんなら縁談くらい、いくらでも来る。後悔しないのか? 兄貴も結婚するつもりの人なら連れて行くべきだって。義姉さんまで置いて行かれる気持ち考えた事あるの? みんなに散々言いたいこと言われて、かなり凹んでたんだ。良かった。寧々と離れなくていいんだ。傍に居てくれるんだね」
「私、シュウの傍に居ていいの?」
シュウの腕の中で聞いた。
「決まってるだろう。僕には寧々しか居ないよ。でも今のままじゃあ……。夫婦じゃないと一緒に行けない。式を挙げてる日にちもないけど……。籍を入れないと行けないんだ。パスポートとビザも必要だし。まだ平日は仕事で遅くなると思うけど、これから土日は休みを貰えるから。マンションの片付けとかもあるし……。でもとにかくまず次の土日で名古屋の寧々の実家に行こう。入籍することを認めて貰いに」
「うん。母に電話を入れておくから。ある程度は話しておかないとね」