三十路が進む 現在進行形初恋

 そういえば、帰ってから化粧も落とさず(ほとんどしていないけれど)、服も着替えずそのまま寝ちゃったんだな……
「よっこらしょっと」
 二十代の頃なら出さなかったかけ声を出しながら、私は反動をつけてベッドの上に体を起こす。

 天井の照明からのびる紐を引いて明かりをつけ、ベッド脇の机の上にある年季の入ったペーパーナイフを手に取る。
 ハルからの封筒は、ベッドの下に落ちていた。

 そして、晩ご飯までにはもう少し時間があるはずだ。

< 18 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop