黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
『君たちが信じる神様って、こんなイメージなんだ。水音のイメージで作ってみたんだけど、面白いね。』
「………ねぇ、雪………じゃなくて、そのー。」
『雪でいいよ。君は、マカライトに帰りたいんだね。』
「うん。シュリに会いたいの。きっと大怪我をしているわ。心配なの………。」
『水音。異世界への移動は1日だけだよ。次の1日まで待ってて。さぁ、冷たい水に体をつけたままにしては良くないよ。』
人間の体になった雪は、そう言うと彼の力なのか、雪音の体が中に浮き、ゆっくりと水辺に降ろされた。そして、揺れていた服や体はしっかりと渇き、そして温かくなっていた。
「雪、ありがとう。でも、私はシュリの元に戻りたい。お願い!マカライトを守るものなら、出来るでしょ?」
『水音……すぐには無理だよ。君の体が異世界へと移動する時に使う体力が今は足りないんだ。だから、本当は5日は欲しいけど……。僕の体力を分けるので1日。僕の体力が戻るのに2日。3日だよ。』
「そんなに!?」
『1ヶ月と3日、どちらがいい?』
「……わかったわ。」
水音が渋々頷くと、雪は水音の傍に降りた。この服だと目立ってしまうからと、雪はこの世界の服に変え、水音にも温かいコートをくれた。
『君はここで行方不明ってことになってて、ちょっとした、騒ぎになってるよ。』
数ヵ月、家にも帰らず、仕事も無断欠勤していれば、そうなってしまうのも仕方がない事だった。
お世話になった職場や交流があった友達には申し訳ないと思いつつも、この世界に戻るつもりはないので、何も連絡はしないでおこうと思った。
『だから、君の家は行けないから、僕のマンシションに行こうか。』
「え!?神様も家に住んでいるの?」
『まぁ、この世界の事を知るには生活するのが1番だからね。』
そういうと、雪はゆっくりと歩いて家まで案内してくれた。
雪の白髪と綺麗な顔立ちのせいで、大分目立ってしまい、自分が見つかってしまうのではないかとヒヤヒヤしたけれど、なんとか到着することが出来た。
雪の家は、高層マンションの一室だった。とても、綺麗な部屋で窓からの景色もとても眺めがよかった。『飛んでいる見たいで、気に入ってる。』と、人間のように笑う雪は、本当に自分と違う存在なのかと、少し疑ってしまうぐらいだった。