黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
5話「穏やかな時間と血の匂い」
5話「穏やかな時間と血の匂い」
シュリは、重要な事を伝えた重圧からか、一度「はぁー……。」と大きく息を入った。
「………私が階級を変える力がある?……突然違う世界に来て、ただ刻印がないだけの私が、そんな事できるの?」
「歴代の無色はしていた。と、記録には残ってる。実際、白蓮と黒を入れ換えたり、青草の奴らが白蓮なった事もあったみたいだな。けど、最近はそんな事は起こってない。」
シュリは自分が話した内容に苛立った様子を見せながら、そう続けて教えてくれた。
水音は、与えられた使命と責任の重さに、思考がついていかなかった。けれども、これは自分の事なんだと言い聞かせて、必死に彼の言葉を頭の中に叩き込んだ。
「それは、どういう事?」
「3つ前の無色から、白蓮がすべて独占してるんだ。湖を占領して、無色を拐っている。そして、どうしてか、みんな階級を変えずに終わらせているんだ。無色の女もどうなったか、俺達にはわからないんだ。」
「そんな………。」
水音はよくない事を想像してしまい、ぶるりと体を震わせた。
しかし、白騎士の事もよくわからないのだ。
本当はどんな事があったのか、ここで想像しても仕方がない事だと水音は自分を言い聞かせて、今の話を深く考えるのは止めた。
そもそも、無色の水音はどんな事をすれば、階級を変えることが出来るのか。それはわからなかった。方法を知らなければ、怖がる事もそして、シュリの願いを叶えることも出来ないはずだ。
「ねぇ、シュリ。………。」
大切な事を聞こうとした時だった。