黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
「まぁ、戸惑うのもわかる。俺だって同じだからな。」
「そう、なの?」
「これを言ったら怒るか、怖がられるかもしれないけど。もし、無色が俺の前に表れたら、どんな事をしても手に入れて捕まえて、逃げるようなら縛ったり死なない程度に痛めつけて言うことを聞かせる。そして、用事がすんだら殺せばいいと思ってた。けど、おまえが湖に倒れてる時に見たら、そんな事出来なかったんだ。………まぁ、お信じられないと思うけど。」
自分で話しておきながら、フッと怒ったように言葉を続けてくれる。照れているのか耳は赤い。
自分は、目の前の人に殺されていたかもしれない。
それを思うと、身震いがしてシュリの真っ黒な瞳で見つめられるだけで、怖くなってしまう。
けれども、それはその時だけで。
今は、こうして生きているし、シュリに悪いようにされていなかった。
「俺の事、好きにさせて逃げないようにするって手も考えてた。でも、それは俺には自信なかったし。好きでもないやつに、優しくする性格じゃないんでな。」
「……じゃあ、優しくするのは、私が好きってことなの?」
「…………そうだろ。」
シュリは「何度も言わせんな。」と言い、スープを一気に飲み干した。
俺様で強気で、謎が多いシュリだけれど、たった1日一緒にいただけでもわかる。
彼は、純粋でそして素直な男の人なんだ、と。
「………とりあえず。」
「え………。」
シュリはガタリと椅子から立ち上がり、水音の方に身を乗り出してきた。
あっという間に、シュリの顔が目の前にきており、水音は胸が大きくドキッと鳴った。
「俺の女になってみないか?」
中性的で綺麗な顔立ちのシュリの顔。
先程は恥ずかしそうにしていたのに、今は真剣で鋭い目、その黒に瞳に吸い込まれそうなぐらいに、まっすぐこちらを見ていた。
そして、水音の返事を待たずに、シュリは水音の唇に微かに触れるだけの口づけを落とした。
彼は出会ったときもそうだった。
突然唇を奪っていく。
水音が真っ赤になったのを、シュリは見てニヤリと笑ったのだった。