黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
「そんな事は言わないで、水音。白蓮の素晴らしさを知ればきっと、水音も好きになってくれるよ。」
「そう、でしょうか?」
「あぁ。」
そう言って、レイトは頷いいた。そして、昼食の準備をマナに命ずると、次々に豪華な食事が運ばれてきた。昨日の夜から何も食べていない私のために、多めに準備をしてくれているそうだった。
マナたちが作った料理はとてもおいしくて、元の国と似ている物が多かったので、水音は安心した。
心の中で、シュリの料理を思い出しては、「彼だけがあんな料理をしていたのね。」と思い、笑ってしまった。
「先程のエニシの件は、本当にすまなかった。悪い奴ではないんだけれど、突拍子もない事をやってしまったり、ヒトとは違う考えを持っていてね。許してほしい。」
「………無色が狙われてしまうのは、わかっています。」
「そうか。やはり、銀髪の黒の男から、いろいろ聞いているのかな?」
「……っ!?」
レイトの言葉を聞いて水音は思わず手を止めてしまった。
どうしてレイトが彼の事を知っているのか。それはわからない。けれど、白騎士が彼を追っていたのは確かだ。
何か彼が白騎士と対立するような事があるのだろうか。
水音が黙っていると、レイトは少し困った顔で微笑んだ。
「そんなに警戒しないでくれ。でも、水音が湖に現れた時に、彼がいたことは知っているんだ。そして、女性を連れて逃走したことも。」
「………彼をどうして追うのですか?」
「それは、無色の刻印をさらったからだよ。それに、白蓮の言いつけを守っていない。…彼は前から少し問題があってね。ずっと、探しているんだ。」
「問題、ですか?」
水音は、レイトの言葉を固唾を飲んで待った。
彼はどうして、白蓮に追われていたのか。
そして、彼からいつも血の臭いがしていたのは何故なのか。それの答えを彼は知っているようだった。
「彼は、雇われの殺し屋なんだ。」
水音は、頭の中で「あぁ、やっぱりそうなのか。」と思ってしまっていた。けれども、ずっと違うと思い込もうとしていた真実に、動揺し、悲しくなってしまった。
彼にも理由がある。それはわかっているけれど、殺しを仕事にしているというのは、水音の元の世界の常識とも、水音自身の考え方にも全くなかったものだった。
それ故に、彼の仕事が理解出来なかった。