黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
「お金や食料などを貰えば、誰からの依頼を受けるらしくてね。白蓮や、青草、黒からの依頼でも引き受けると聞いているんだ。まぁ、みんな誰も依頼したとは教えてはくれないんだけどね。」
「あの、この国での殺人は、もちろんダメなのですよね?」
「……良くないと思っているけど、白蓮は罪には問われないよ。というか、白蓮の考えが常に正しいと言われているからね。白蓮の刻印の持ち主には、殺し等の酷いことはしないようにど、皆で決めてはいるけれど、裏では何をやっているのかわからないのが現状なんだ。」
「そんな………。」
水音はその真実を知って愕然としてしまった。
白蓮がしている事は、予想以上に残酷なのだと知ると、それもまた水音の心を痛めた。ただ生まれ持った刻印のせいで、豪華な暮らしが出来たり、酷い扱いをうけて殺されてしまう。差別というのは、まさにこの事なのだと、現状を目の当たりにしてしまうと、水音は言葉が出なかった。
そして、シュリの事もそうだ。
生きるために殺しを仕事にしている。そういう人もいるとわかっている。けれども、彼がそんな事をしていると知るのは、とても辛かった。
そして、水音は彼に止めてほしいと強く思った。けれども、今まで彼はどうやって生きてきたのだろうか。彼が受けてきた辛い扱いを知らずに、突然きた異世界人に何を言われても、きっと意味がないような気がした。
でも、彼は「好きだ。」と、言ってくれた。一緒にいたいと願ってくれたのだ。
きっと、今の暮らしが寂しくて辛いからなのではないか。そんな風に水音は思っていた。
もしかしたら、彼は殺しの仕事を止めさせて欲しいのかもしれない。
何はともあれ彼に会って話がしたい、水音はそう強く思っていた。