黒の殺し屋と白蓮の騎士との甘い異世界恋愛
14話「黒の刻印」
14話「黒の刻印」
穏やかな日が続いて行く中、水音はただただ焦るばかりだった。
レイトとの生活は、とても楽しくて充実した日々だった。でも、仕事をしないで過ごす日々は、罪悪感でいっぱいになってしまう。
自分が楽をした分、他の人が苦労をしているのではないか。そう思ってしまうのだった。
何度か、自分で仕事を見つけてしようとしたけれど、レイトはそれをことごとく禁止にしてしまった。
そして、レイトは日がすすむにつれて、恋人同士のような行動をするようになっていった。
白蓮の領地内を歩くときは、手を繋いだり、何かを話す時は耳元で囁くようになっていた。
マナや他の使用人達は、皆恋人同士になったと思い込んでもいた。
そんな事もありながら、2週間という月日が流れた。
その間、水音はレイトにあることを頼み続けていたのだ。それは、青草と黒の町を見に行きたいという事だった。
水音が見たのは夜の町だけだったので、暗くてよくわからなかった。自分が運命を決めてしまう国を全て見に行きたいと思うのは、当然だと伝えたけれど、レイトの答えはいつも同じだった。「危険だから、ダメだよ。」と言われてしまうのだ。
シュリの事もとても気になっており、白蓮の外に出てしまえば彼が会いに来てくれるかもしれないという期待もあった。
しかし、レイトはいつまで経っても許してくれないだろう……そんな事を思っていた日。
水音は、思いきってお願いをしようと思ったのだ。「行かせてくれないと、ここを出ていきます!」と、多少の脅してでも水音は見てみたかったのだ。自分の選択で運命が変わる、マカカイトという国を。